支援のおかげで会社がひとつになれました。

株式会社 樽正本店 (神戸市灘区)

1930年創業の加工食品メーカー。もともとは漬物の製造・販売を行っていたが、阪神・淡路大震災により本店・工場が全壊。その後はジャムやコンポートなど果物の加工食品に特化し、「伝統を今に生かす」という企業理念のもと、素材と製法にこだわった付加価値の高い商品づくりに取り組んでいる。

代表取締役 石川 寛 氏(写真左)、
顧問 石川 徹 氏(写真右)

2代目(現顧問)から3代目(現社長)へ代替わりしたものの、コミュニケーションの不和から事業展開の方向性が共有できず、経営ノウハウや技術の伝承も停滞。「KOBEあとつぎサポートチーム」に相談したところ、親子関係の融和と経営課題の整理が進み、真の承継に向けた動きがスタートした。

事業の承継にあたってどんな課題があったのでしょうか?

石川顧問:率直に言うと、親子間の問題です。息子は親を乗り越えていかなければいけませんし、反発もするものです。それ自体はいいことですが、事業においては伝統を正しく理解し、引き継いだ上で展開してほしい。

しかし、震災で商売の形態が全く変わってしまい、商品も販売先も大きく変わりました。社長も従業員も会社がどこを目指しているのかがわかりづらくなり、「樽正」というものが見えなくなっていたのだと思います。

具体的にはどのような支援を受けましたか?

石川社長:KOBEあとつぎサポートチームの中小企業診断士さんが、まずは先代である顧問と私に個別でヒアリングをされ、課題を整理してくださいました。そのうえでディスカッションを重ねるうちに、実はお互いの考えが一致していることがわかり、同じ方向に向かっている中で違う選択をしているだけだと教えていただけたのです。

それまでは反発心が先に来てしまい、まともに話をする機会もありませんでしたが、アドバイスをいただくことでわだかまりが解け、話をしてみる気になりました。その後にはじまったのが社是作りです。

それによって、どんなことが改善されたのでしょうか?


石川顧問:私が大切にしている「伝統」を正しく理解してもらうことができました。お互い何となく感じていたものが、社是を作ることで明確になったということです。伝統には何を選択していくかという「知恵」も含まれます。

そうしたものを活かしながら新しいものを取り入れていく。世の中のいろんなものから伝統が消えてしまっている今だからこそ、本当に必要なものなんだということがわかって、社内みんなの意識を統一できたというのは大きいですね。


では、今後の事業展開についてお聞かせください。


ジャムやコンポートなど果物の加工食品

伝統技法を省略することなく、ひと鍋ずつ手作りで丁寧に炊き上げたジャムやコンポート

石川社長:ジャムやコンポートに注力し、農地を食品加工場の延長線上として考えた素材への取り組みや、中世ヨーロッパの伝統技術を今の時代に合わせていくような商品作りをしていきます。また、そうしたコンセプトに共鳴していただける方々と提携しながら事業を進めたいと考えています。

今回の支援で私自身も大変勇気づけられましたし、事業承継には早めの準備が必要だと感じました。受け継いだ伝統を次の世代へ繋ぐためにも、強い信念と目標を持って日々取り組んでいきたいと思います。


100年経営支援事業(事業継承支援)


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