100年続けることが社会貢献、 その思いを胸に経営のバトンを次世代へ

株式会社トライス(本社:神戸市中央区)

印刷に関する企画およびデザイン制作業務、Webサイト制作業務、広報ツール制作業務、販促に関する企画および制作業務、取材・編集など原稿制作に関する業務、写真・ビデオ撮影業務、データベース構築業務

株式会社トライス

代表取締役 岸 徹 さん

トライスの歴史の始まりは1934年設立の印刷会社。アナログからデジタルへ移行する業界の流れをいち早くキャッチした岸徹社長は、阪神・淡路大震災の2年後、企画・デザインを柱とする情報加工コンサルティング会社へ事業を進化させました。社名は「Trust 信頼」「Refine 洗練」「Advanced 先進性」「Idea 創造性」「Spirit 意欲」の頭文字に因むもの。目指すのは100年経営です。その実現に向け、現在事業承継の準備を進めています。

何から始めればよいのか、正直わからなかった……

老舗の印刷会社が印刷機を手放す――。この大きな決断の機となった阪神・淡路大震災。1997年に業態変換を遂げ、情報加工コンサルティング会社としての新たな一歩を踏み出した岸社長は当時の様子をこう振り返ります。
「震災で破損した印刷機は早めに復旧できたものの、交通の混乱で従業員が出社できませんでした。そんな困難な状況でも彼らの生活を守るためにとにかく前に進まなければならない。まさに経営者としての責任を痛感した時期でした」。
誰一人としてリストラしない。そう自ら誓って取った手段が、同業者の仲間に印刷業務をサポートしてもらうこと。このアウトソーシングの経験が現在のトライスを形づくったといいます。

「時代は絶えず変化しています。ハード面はアナログからデジタルに移行し、企画やデザインなどのクリエイティブ面も若い世代のほうが感性は豊かです。私がいつまでも指揮を執っていては会社のためになりませんよ(笑)」。
現在64歳。自社の今後を考え始めたのは数年前。「そろそろ次の世代にバトンタッチをしなければと思いながらも、具体的に何から始めればよいのか正直わからなかった……。そんな時、たまたま参加したセミナーでチラシを手にし、後継ぎの準備をサポートしてくれる神戸市産業振興財団の存在を知ったんです。早速私から電話しました」。

事業承継計画が“見える化”され、ひとまず安心

KOBEあとつぎサポートチームの専門家がトライスを訪ねたのは2018年。担当の中小企業診断士がヒアリングを重ね、最初に手掛けたのが事業承継計画の“見える化”でした。
「私は70歳でリタイアする人生設計を描いています。それまでに、例えば65歳までにこれを済ませる、次の1年でこれをやるというように、財務、株の譲渡、業務の進捗管理、取引先との関係構築や自社教育に至るまで、今後取り組むべきことが一目でわかる計画表を作成していただけました。私一人では到底できない作業です」。
まずは胸をなでおろしつつ、次は実行に移す段階。今後も同財団にアドバイスを受けながら、一歩一歩、事業承継を進めていくつもりです。

トライスは現在18名。できれば苦楽を共にしてきた従業員に後を継いでほしい。そんな希望もあり、今年の決算期の7月、社内ミーティングでこう宣言しました。
「来年までの1年間で『この人となら一緒に頑張れる』という者を2名、みんなから推薦してほしい。もし相応しい人がいなければM&Aで会社を譲渡します」。
次の世代へ大きな期待を寄せながら、経営者になる責任の重さも身をもって知るからこそのメッセージ。1年後、後継者候補が出て来れば、「トップに立つ覚悟と厳しさを教えながら、大変な中に夢があることも伝えたい」と温かい眼差しで話す岸社長。そうした心のあり方も一緒に承継できればと考えています。



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