KOBE MEISTER

洋菓子/髙杉 良和

昭和27年生 東灘区在住

勤務先:御影髙杉 本店

生菓子、焼菓子、練菓子、工芸菓子等洋菓子づくりに精通し、業界をリード

ケーキのスポンジ生地を改良、食感、風味、うま味のバランスのとれた独自の製法を考案、髙杉流「ビスキュイ・ジェノワーズ・アラ・オリデネール」が一般に普及。

髙杉 良和さん 苺のショートケーキを一目見て、これまでのものと全く違うことが分かる。立方体のトップに複数の苺が乗せられ、その下のスポンジが幾層にも工夫が施されてあるのが素人目にも理解出来る。いちばん下にビスキュイ・ジェノワーズ、その上の赤く薄い層が苺のソース、その上に生クリーム。この三層の上に生クリーム、苺のソースを積み重ね、さらにビスキュイ・ジェノワーズを置いて最上面に苺のトッピングを豪華に。「誰が作ったものなのか分かるケーキをと肝に銘じて仕事を続けてきました」と意欲のほどを語る髙杉さん。大皿に盛り付けてナイフとフォ―クで食べる。「どこから食べても均等においしさが味わえるよう工夫してあります」。元来苺のショートケーキを認めなかったフランスで認めさせた実力をなるほどと納得する。
 広島県から大阪に出てホテルでパティシエの修行に入った時、良い指導者に恵まれたこともあって、それまでの常識にとらわれることなくさらに優れたものをとの気概を自分自身に叩き込んで修行を続ける。ケーキづくりの幅を広げる意味から調理技術も身に付けて、単なるデザートの存在から主役として評価してもらえるケーキの実現に挑み続けてきた。神戸の個性的ブライダルを売り物にするホテルに移って、アイデアが要求される一方、大胆な提案が認められる恰好の舞台となって、腕に研きがかかった。貫き通した創意工夫精神の何よりもの成果はビスキュイ・ジェノワーズ。全卵、砂糖、アーモンドパウダーを泡立てた生地に、別に卵白と砂糖を混ぜ合わせた生地・メレンゲに小麦粉を加え、55度に温めた無塩バターを混ぜ込んで保湿と滑らかさを持った独自のスポンジ生地。髙杉流とも言えるビスキュイ・ジェノワーズ・アラ・オリデネールが業界に影響を与え、今ではこの製法を採用するパティシエが全国的に増えているという。
生クリームのバランスがみごとな苺のショートケーキの写真 ドイツ、ベルギー、アメリカでの修行体験も積む貴重な才能が買われて、本高砂屋に招かれ、取締役に就任の一方、「御影髙杉店」事業本部長としていかんなく手腕を発揮して現在に至る。
 生菓子はもちろん、焼き菓子、練り菓子から工芸菓子まで斬新な手法で注目を集める髙杉流は枚挙にいとまがないほどの数々の受賞をものにし、その技術を洋菓子専門学校等で後進の指導育成にも力を貸す。「食材の吟味に始まり、素材と量に見合った火加減、焼き上がった菓子への包丁の入れ方まで基本を徹底的に教え込みます」。基礎がしっかりしていてこそ、アレンジが生きると確信しての徹底指導も彼ならではのやり方だ。42年に及ぶ菓子作りの経験を最大限に活かして、店頭では顧客に満足の時間を提供、その重要なツールとなるケーキの目的に合った原材料を手に入れるために国内外の各地に足を伸ばすなどの労苦もいとわない。世界の水準に負けない日本の業界をリ―ドする誇りと責任に燃えて、彼一流のこだわりの活動はとどまるところを知らない。

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