KOBE MEISTER

中華料理/居地 正一

昭和29年生 長田区在住

勤務先:ANAクラウンプラザホテル神戸

伝統を守る一方で、日本人の味覚に合うハイレベルの洗練された中国料理を確立

少人数からホテルならではの大人数宴会料理まで、四季折々の食材にこだわり、タイミングを計算した調理の仕上がりで、おいしいものをよりおいしく提供する工夫に手腕を発揮。

居地 正一さん 鳥取県の生まれ。家が中国料理店だった。父と同じ中国料理の道を志し、神戸に修行に出た。三宮の新聞会館にあった「金龍閣」で、初歩から実地に学ぶ。歳月の経過と共に腕を上げ、ポートピア博覧会を機に新神戸オリエンタルホテル(現:ANAクラウンプラザホテル神戸)が誕生するに当たって、中国料理部門の主要スタッフとして抜擢され、ホテル開業に尽力する。
 特に神戸は全国的に中国料理のおいしいところとして定評がある。居地さんは、工夫を重ね、その期待に応えている。「いろいろな料理法が存在する中国料理のなかで、私がベースにしているのは広東料理です。それをさらに、繊細な味覚を誇る日本人の口に合うようにアレンジして、自分なりのレシピを幾通りも完成させて場面に応じて使い分けています」と日頃の苦心の一端を語る。
中華料理の写真 吟味を重ねた食材を厳選したうえで、大宴会では大量の料理を一斉に出す必要にせまられるため、真空調理法を採用したりして創意工夫をこらす。例えば、食材の水分を保つために冷却し、それを再加熱することにより、数々の料理が新鮮そのもので一斉に食卓にサービス出来る。「スチームコンベクションオーブンを使って温度や時間の加減によって完璧を期す秘訣も後輩たちに伝授しています」と語る。そして、大がかりなパーティーでは、幾組もの調理スタッフを配して総指揮官として陣頭指揮に当たる。「本当においしい中国料理は煮込みに何時間もかけます。手間暇かけてじっくりと本番を想定して事前の準備を進めていきます。そういった蔭の作業があってこそ、スープにしろ深みのあるうまみを際立たせることが出来ます。香辛料のさじ加減など、経験を積めば積むほどやり甲斐のある仕事です」と、目を輝かせる。こういった人知れぬ苦労が報われるのは、お客の「おいしい」との一言。お客を喜ばせる特技として人参を用いた彫刻がある。中華包丁を器用に操って龍を彫る。目的に応じて大きな龍から小さな龍まで用意し、さりげなくテーブルに彩りを添えて、サプライズの演出で感動を与えることなども居地さんならではの人柄だ。「中華包丁にしろ、中華鍋にしろ、中国料理だからこその素晴らしいものがあります。基本的なことも大事にして、いかに今の時代の方々に満足してもらうか、まさに技術と心のおもてなしそのものです」と言い切る。
 円卓を囲んで絆を深める中国料理。居地さんの持てる技量がいかんなく発揮された味のメッセージが今日もテーブルに届く。ホテルの名称が変わり「ANAクラウンプラザホテル神戸」となっても、34階中国レストラン「蘇州」を拠点に居地さんの存在はますます重要視されて現在に至っている。

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