KOBE MEISTER

製かん工 / 平野 利一

昭和41年生 北区在住

勤務先:三菱重工業(株)神戸造船所

原子力、水力発電の鉄工構造物製造において、創意工夫と緻密な技術を駆使して、大型構造物を組み立てる。現代文明を支える陰の主役。

丸い水圧鉄管、ドーム大屋根から、四角い橋梁や大型構造物まで、鉄を素材とした複雑構造物において独自の創意工夫を。自ら蓄積した技術を後進に伝授して、国内外の技能五輪でメダリストを複数、世に輩出。

平野利一さんの写真  神戸マイスター初の製かん工だが、製かんとは鉄工の仕事と言えば分かりやすい。そんななかでも、平野利一さんは構造物鉄工を担当している。「丸と四角に分類される仕事です」と言う。丸は原子力発電プラントの心臓部である原子炉格納容器や水力発電の水圧鉄管などを指し、四角は橋梁をはじめ、大型構造物を指す。いずれも鉄の素材を用途に応じて組み立てるのが平野さんの役目だ。
 実際の作業となれば、高度の技術と熟練が要求される。設計図面、設計要求事項をもとに、製作手順、製作エリアを立案し、組み立てに必要な工具、治工具、計測器を準備、設計図通りに組み立てて行く。鉄材の切断に始まり、開先加工、曲げ加工、組立、仮付溶接、寸法確認、溶接、歪み修正、寸法検査、外観検査など幾つものハードルをクリアして製品に仕上げていく。大型構造物が多いため、足場を組んでの作業が続く割に緻密さが要求される。「水圧鉄管は単なる曲面だけでなく、複雑な形状の構造物に仕上げる必要があり、高レベルの技術を発揮する実力が備わっていなければ、務まりません」 と言い切る。特に難しいY字型分岐部の組立など平野さんならではの力量が買われて、インドに2年間出張し、水力発電プラント用水圧鉄管を現地で製作、据付した実績を誇る。また、シンガポールの世界一大きい観覧車、28人乗りのキャビンを神戸の工場で製造、現地に向けて送り出した実績もある。
 国内需要では、原子炉格納容器のほか、名古屋ドーム、但馬ドームの球型大屋根や、神戸空港連絡橋、同飛行機進入灯橋梁など彼の技術ならではの構造物は枚挙にいとまがないほど各地で社会貢献している。このような切磋琢磨の結果身につけた技術を後進に伝授することも惜しまず、技能五輪に挑戦、構造物鉄工の職種において、4年間で育成した選手が金メダル1個、銀メダル6個、銅メダル2個を獲得、全国的にも名を知られる指導者となった。
北海道電力の発電プラント  平野さんは神戸市兵庫区の生まれで、父が三菱重工で働く姿を見て育ち、ためらわず自らも入社。「難しい仕事ほどやり甲斐がある」と肝に銘じて常に困難な仕事に立ち向かって28年。「創意工夫を凝らして、全身全霊を打ち込んでやり遂げた時の達成感は何ものにも代え難い喜びです。その満足感を求めて、また、次の挑戦をする自分に鞭打ってここまで来ました」 こんな平野さんの姿を見て育った子どもが同じようにこの道に入り、親子三代にわたる三菱人生を実現した。
 「父の時代とは異なった技術が要求される今の時代、当然、子どもたちの時代には想像も出来ないような技術が生まれていることでしょう。その時代の流れを把握してコツコツと経験を積み重ねるのがいちばんです」。 平成16年以来毎年、技能検定委員を務めているが、大企業の職員としては数少ない貴重な人材としても高い評価を得ている。

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