KOBE MEISTER

美容 / 古川 弘子

昭和29年生 中央区在住

勤務先:(有)弘貴 神戸北野ハンター迎賓館

日本古来のきもの文化を今の花嫁に活かすための「ワンタッチ美装掛下」や新日本髪用の「童夢」を考案。伝統を守る心に時代の先端をいく創意工夫で、女性の夢の実現に貢献。

生涯最大の喜びの日を楽に、美しく輝いてもらうために

古川弘子さんの写真  生まれた家が美容室だった。人生の指針として、何か免許を持っておいた方が良いとの考えから高校生の時に美容の通信教育を始めたのがこの道に入るそもそものスタート。昭和48年、高校卒業のころ、美容師の免許を取得したが、短大に進学。学業のあいまに家業を手伝い、卒業のころ、兵庫県美容業環境衛生組合のコンテストに出場、三年連続で優勝する。四年生大学に編入して、卒業間もなく結婚、家庭を守りながら大学院にも通う。
 育児が一段落するのを待って、美容着付けにも励み、昭和63年、兵庫県美容環境衛生組合技術コンクールに出場、花嫁着付け最優秀賞を獲得、ブライダル業界における和装を中心とした花嫁の美容着付けのジャンルで独自の道を切り開いて行く。現場で実際に成人式や結婚披露宴の着付けを手がけるようになって、親に作ってもらった振り袖でさえ、2回から5回未満しか着ないケースがほとんどという実情を知る。その理由の一つに「きつい、着崩れする」という悩みがあると分析して、着物を楽に着てもらうことを古川さんのテーマとして創意工夫を重ねる。
 ホテルで花嫁の着付けを多数手がけるようになって、着物を着慣れぬ若い女性に楽に打掛を着てもらうことと、しかもスピーディーに着付けなければならないという課題があることを痛感した。その結果考案したのが花嫁衣装用の「ワンタッチ美装掛下」。花嫁衣装の繰り返し行われる打掛の裾の上げ下ろしに対応して、花嫁の負担軽減になると共に、美容師の作業時間を大幅に短縮出来るという優れた発想で特許を取得した。また、お色直しの振袖にふさわしい髪型を容易にする器具「童夢」も考案した。これは櫛や髪飾りが自由に固定出来、振袖に似合うさまざまな新日本髪を短時間に仕上げることが可能というもので、大変便利と高い評価を得て、業界で広く使用されるようになって現在に至っている。「白無垢から振袖へのお色直しに着付けからヘアのチェンジまで10分間でこなすようスタッフにも指導しています」と目を輝かせる古川さん。
 思えば自分自身が赤ちゃんだった時、乳飲み子を抱えて美容学校で学んだ母親の生きざまを常に目の当たりにしながら成長し、気が付けば自分もまた美容業界に身を置いていた。

古川弘子さんの技術の写真  平成13年に神戸市優秀技能者表彰を受けたのを皮切りに同16年には兵庫県技能顕功賞、18年現代の名工、20年黄綬褒章と次々に受賞、これまでの努力に花が咲いた。「人間生活において生き甲斐を考える時、結婚は重要な役割を果たすターニングポイントです」との信念に燃えて、女性にとって生涯最大の喜び事ともいえるその日を最高に充実したものにするためにひたすら探求を続けるプロ中のプロである。また、「ブライダルコーディネート論」を構築して、短大の講師としても活躍するなど、若い世代への知識の伝達にも情熱を傾ける古川さんである。

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