KOBE MEISTER

西洋料理/山口 浩

昭和35年生 中央区在住

勤務先:神戸北野ホテル

料理長として、またホテル経営者として高級イメージの宿泊施設付きレストラン、都市型オーベルジュを誕生させ、サービス業の一つのジャンルを確立。

「水のフレンチ」など現代の半歩先を行くメニューの提案で、
一世風靡。

山口 浩さん 神戸を代表する観光スポット、北野にあって、都市型オーベルジュ、いわゆる宿泊施設付きレストランとして注目を集めている神戸北野ホテルの総支配人・総料理長が山口 浩さん。単に料理の面だけではなく、経営者として神戸北野ホテルを独自の地位に押し上げたところが、山口さんならではの才覚。従来のオーベルジュは田舎に出かける形のものだったが、山と海が近い神戸の地の利を活かし、高級イメージを強調した都市型オーベルジュを確立させた手腕が各方面から高い評価を受ける結果となった。「震災で5年間休館していたホテルを再生させ、オンリーワンと誇れるものを世に出したかったんです」と、目を輝かせる山口さんは、兵庫県生まれ。
 祖父母の食堂で、疲れた人が一杯のうどんで元気になる姿を少年時代に見て育った原体験が「食べることは人を幸せにする」と自覚し、料理の道に飛び込んだ。大阪のホテルを経て、フランスに渡り、パリとブルゴーニュのレストランで、本場フランス料理の修行を積んだ。とくに、師匠であるブルゴーニュの三ツ星レストラン「ラ・コート・ドール(現ルレ・ベルナール・ロワゾー)」でのシェフ、ベルナール・ロワゾーさんの教えを受けて、料理人として大きく成長した。1992年、神戸ベイシェラトンホテル&タワーズレストラン「ラ・コート・ドール」開業にあたり、日本人料理長として招へいされて帰国。しかし、阪神・淡路大震災で同店が撤退し、じくじたる思いを噛みしめる。神戸市内の他のホテルの総料理長に招かれて腕をふるうなかで、料理の仕事がやはり自分の天職と悟る。「昔からつちかってきたものに、今の時代を反映させ、次の世代へと送る役割のなかで、自分を活かす最良の道を見つけようと決心したんです」。その気持ちが、震災で5年間の休眠状態におちいっていた神戸北野ホテルを経営する決断につながる。
フランス料理の写真  総料理長として、またホテル経営者として、采配をふるい、そのコンセプトが着実に世間の評価を得ていくなかで、山口さんは師匠の料理を“対話の料理”と理解し、今という時代が要求する料理を編み出した。ベースが「水のフレンチ」である。バターや生クリームを極力控え、フォン(だし)を使用せず、本来無味無臭の水で素材のうま味を抽出して凝縮するという料理法である。パリの二ツ星レストラン「フォージュロン」と、ブルゴーニュの三ッ星レストラン「ラ・コート・ドール」でのきびしい修行の結果、日本に持ち帰った秘策である。
 ソースが命といわれるフランス料理で、ピュアなソースが素材のうま味を引き立てる。カロリーの消費が少ない現代人にふさわしいヘルシーメニューでもある。「伝統の良さを引き継いで、いつもと変わらずおいしいと感じる要素に加えて、時代の半歩先を行く新鮮な驚きを味付けにします。守るべきは守り、変えるべきは変える。旧態依然のまま変わらないのは古いだけで、価値が薄れます」と言い切る。その鋭い感覚が神戸北野ホテルならではの味を確立させた。幼いころ、食に喜びを見出す人たちを見て、食べることの素晴らしさを実感して一念発起、フランスで腕も味覚も鍛えて、自分ながらの道を見事に切り開いた。フランスには今なお、定期的に通い続けて常に新しい知識の吸収を怠らない。その探求心が、神戸で注目を集め続ける存在としての期待に応えられる力の源となっている。

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