KOBE MEISTER

婦人子供服 / 京川 園枝

昭和17年生 須磨区在住

勤務先:学生専科 京川

人格と品格のある創意工夫の学生服で学生の成長ざかりを応援。時代の先端をいく技術革新で、作る側の効率アップもはかる。

さりげないセンスで充実の学生時代を演出するこの道のプロ

京川園枝さんの写真  試作中の上着が人台にかけられている。ホテルのスタッフかキャビンアテンダーの制服かと思うほど、センスの良い上着が、実は高校の制服だという。「人間形成の大切な時期に着るものですから、やはりプライドを実感出来るものでないと」と、京川さん。それでいて、あくまで成長ざかりの少女が着るものであることの基本を外さない。「3年間着続けるものですから、くたびれない素材を選んで、型くずれしないような縫製をと工場に指示することはもちろんですし、10センチ以上も身長が伸びる生徒もいますので、その対策もしておかなくてはなりません」。袖や裾の縫い目を解くだけで長くなる仕立ても考案した。ともすれば画一的になりがちな学生服にエンブレムなどで、一目でどこの学校か分かる工夫もしたりなど、個性を重視するのが得意なのは、もともとがプレタポルテで修行を積んだ経験のなせるわざ。
 広島の出身で、洋裁を志し、シックなセンスに憧れて神戸にやって来た。兵庫の「日の出洋裁」を経て、「京川洋裁店」へ。「人が10年かかる技術を3年で修得するほどのがんばり屋でした」と、代表の京川誠治さんが絶賛し、二人三脚で「学生専科 京川」を盛り上げてきた。今では長男の竜士さんがチーフマネージャーとして家族ぐるみで教育界の制服づくりに貢献している。

京川さんのおしゃれな試作品の写真  時代を先取りして25年前からコンピュータを採用するなど、技術革新の面でも注目を集めてきた。そのコンピュータを駆使して、自らパターンのコンピュータ化を考え、そのパターンにノッチ(合い印)の数を増やす方法で、縫製効率を上げ、上着の生産効率を20%アップさせるなどの技術革新面でも実績を残した。現在、担当している中学、高校は40校余り。健常者に混じって身体に障害を持つ生徒も通学する。そんな生徒が少しでも活動しやすい制服を考えることもまた、京川さんの使命だ。一人ひとりの身体状況に合わせたファスナー、マジックテープ、ゴムなどで脱着が容易に行われるよう工夫した制服を世に送り出している実績も評価される。課題を見事にクリアする実力の持ち主だけに、新しい制服の提案はまさにお手のものだ。「新設の学校などでは必ず、制服の考案が必要ですし、一旦制定した制服は長い時代に渡ってその学校の象徴として伝統を築いていくものですから、全神経を集中して挑みます」。ベテランが真剣勝負で挑戦する。工房の試作アトリエで、選び抜いた生地に「切りビ」を付ける京川さんの姿は崇高な雰囲気さえただよう。
 思えば、昭和49年には兵庫県から選ばれてヨーロッパへ海外研修に出かけた。イタリアのデパートで同行の弟子たちにアドバイスした。「ほら、本場のファッションはシルエットが違うでしょ? このいい線を日本も学ばなきゃ」。その4年後、全国技能士連合会コンテストで金賞を受賞したことが昨日のことのように脳裏に浮かぶ。業界の指導員としても貢献し、制服のレベルアップにいかんなく実力を発揮してきたことも特筆すべき。京川さんの持論はこうだ。「私たちが作る制服を着てくれる生徒さんたちが将来の社会を築いてくれることを忘れてはいけません」。その思いが京川さんに勇気を与えてくれ、明日へのエネルギーになっているという。

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