KOBE MEISTER

写真 / 森行 善彦

昭和22年生 垂水区在住

勤務先:わたつみ会館写真室

生後1カ月から3カ月ほどの赤ちゃんの記念写真では兵庫県内でもトップクラスといわれる。20年間で1万人以上の乳児を撮影してきた実績が、“森行流”の技術を打ち立てる原動力となった。「秘訣は99%がシャッターを切る以前の心配りにあります」。

独自の技法を駆使して子供の記念写真を

森行善彦さん  宮参りで連れて来られた赤ちゃんを単独で椅子に座らせて撮影する時、どれほどいきいきとした表情をとらえられるかが出来映えを大きく左右する。 「前もって問い合わせの場合は、おなかを空かせた状態で、ミルク持参で連れて来てもらうよう指示します」。ギャアギャア泣いてもかまわない。 上手にあやしながらミルクを飲ませるなどして、しっかりと目を開いた状態にするのがコツ。「満腹ですやすや眠っている赤ちゃんは撮影までに時間をかけます」。パッチリと目を見開かせて輝いた表情を撮るポイントは、メインライト以外の照明を全て消し、周りを一度暗くすること。「シャッターを押す瞬間にはストロボが光りますが、その時、赤ちゃんが大きく目を開けてくれ、ねらい通りのイキイキとした瞬間をものに出来るのです」。
 ライティング効果も独自の工夫を施し、被写体を浮き上がらせて文字通り“きわだった表情”をフィルムに定着させるようアングルが計算されつくされている。「あくまで主役は赤ちゃんですから、バックをわざと落とした調子でシャッターが切れるようベストな設定をしていることは言う迄もありません」。 特有の雰囲気をかもし出す写場で、将来をしっかりと見据えたかのような赤ちゃんの姿が着実にフィルムに定着されていく。
 七五三の撮影でも森行さんは大いに真価を発揮する。子供の扱いのうまさにかけてはこの人の右に出る者がいないと言われるのもなっとく。七五三の写真着物の着付けの乱れまでまたたく間になおしてしまう手際のあざやかさ。幼子の気の引き方も実にうまい。「何もかも子供が教えてくれるんですよ」。 必要が生んだ成果とでもいうべきか。ベビーシッターに雇いたいとの声すらお客からもらうほど子供の習性を知りつくしている。
 肖像写真の分野ならではの修正技術においても、ネガの裏面に針のように尖らせた鉛筆で光のムラなどを補筆して出来映えをさらに良くするなど、高度な技術を誇る。
 神戸生まれ。高校時代に知り合ったプロカメラマンの影響を受けて、この道に入り、岡山、西宮、神戸などの写真館で宣伝写真、踊り、婚礼と修行を積んで、昭和59年に独立して写真室を構えた。 「人間の一生でスタートとも言える大事な記録写真を撮影出来る責任の重さと喜びを噛みしめながら、好きなカメラに向かっています」。くったくのない笑顔で子供と接する森行さんだ。

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