KOBE MEISTER

足場職 / 山岡 健造

昭和28年生 加古川市在住

勤務先:三菱重工業(株)神戸造船所

足場職――こんな専門職があったことを世の中に知らしめることだけでも、山岡さんは立派な働きをした。神戸マイスターに認定されたことによって、縁の下の力持ちの中でもとりわけ陽のあたらないセクションにみごとスポットライトをあてさせた要因は“山岡ブランド”と評価されるその技術のさえだ。

船の足場づくりに誇りと情熱

山岡健造さんの写真  「足場を架けられない場所はない」。山岡さんはきっぱり言い切る。
 一般修繕工事のみならず、船種変更、主機関換装や船体延長工事などどれも難易度が高く、危険な工事現場ばかりだが、必要とあらば、水の入ったタンクの中にまで足場を作る。「木で筏を組んで水に浮かべ、工事の進み具合によって水を減らせていくという方法をとるんです」もちろん、照明設備なども考えて、あくまでも作業を担当する側が効率よくしかも安全に進めることが出来るよう完ぺきを期す。 「何しろ作業する人たちの命がかかっていますから、一回一回真剣勝負で、対処しています」。入社以来32年間足場ひと筋に働いて来て無事故を誇るが、それは当然のことと言い切る。「自分が安全であるだけではいかんのです。足場に乗って作業をするチームが安全で、設計通りのものを効率よく造りあげるための、文字通りの足場をしっかりと固めないと失格です」さまざまな船の異なる状況のもとで、作業する人がどんな姿勢で、どんな仕事をするのか?他種にわたる仕事を理解したうえでなければかかれない。鉄工職、溶接職、配管職、仕上職、電装職、塗装職・・・すべて足場が不可欠。「工事内容が分かった時点で、図面から工法を考え、現場の責任者の意見を尊重しながら計画を立て、実施に移します」。建築用足場とは根本的に異なり、ワイヤーを使って足場を作ることもある。例えば、コンテナ船一隻を見ても、495ブロックに対し、12000枚もの足場板を使って、構成するなど、スケールの大きさも想像以上。比例して内容と質の高さを要求される山岡さんの仕事だが、神戸造船所内の工事にとどまらず、海外の埋め立て工事でも活躍、シンガポールでは現地の作業員を指導してプロジェクト完遂により日本の技術の確かさを海外に再認識させることで貢献した。数え切れぬ足場を使って建造された大型コンテナ船山岡さんが手がけた足場の代表としてはほかに大型客船の「にっぽん丸」「ふじ丸」、「大型コンテナ船」、「自動車運搬船」、「砂杭打ち船」など枚挙にいとまがないほど。
 社員と協力会社で編成の4チーム30名を率いて指揮しているが、労働基準連合会の講師をつとめるなど社外での後継者育成にも寄与している。
 山岡さんの生まれは沖永良部島。昭和47年に高卒訓練生として三菱重工神戸造船所入社。船を造る作業を支える仕事ひと筋の中で、気がつけばこの道のオーソリティとなっていた。故郷の島ともつながる和田岬の湾の中で、自分の手がける船が悠々と大海原を航行する姿を思い浮かべながら、船体の基となる足場づくりに全身全霊で挑み続ける山岡さんだ。

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