KOBE MEISTER

建築大工/吉岡 唯

昭和24年生 西区在住

勤務先:吉岡建築

和風住宅を得意とする一方、材料となる木の知識に優れ、そのこだわりから製材も手掛け、社寺の設計・建築にもすぐれる。

技に心を添える少数正統派

吉岡 唯さん 神戸市西区の田園地帯にゆったりとした敷地を持つ工房-それが「吉岡建築」。通常の”大工さんイメージ” を離れて材木置場と製材所まで備えているのにびっくり。「天然木はいいものが出る年とそうでない年があるので、買い込んで貯えておく必要があるんです」充分に乾燥させた木を自分で納得のいくように製材して建築材とする。
 日本家屋は木が命であることに、昔も今も変わろうはずがない。だが、分業化が進んで木の見立てができないばかりか、カンナで削る技術さえ持ち合わせない大工さんが増える風潮を寂しがる。「せめて,自分だけは!」と、200種類ものカンナを使い分け、墨壷を駆使して伝統技術にこだわり続ける。「建築の方法に新しい技術は通用しない。また、それを開発する必要もない」と、頑固なまでに正統派の基本に忠実。
檜の線が美しい居宅の隅の部分写真 一般の和風住宅はいうにおよばず、社寺の設計・建築にもすぐれ、大歳(おおとし)神社や常光寺を手がけたほか、岩岡町のだんじりにまで腕をふるった。「家にしろ社寺にしろ、建物は大きな器。心の豊かさをはぐくんでくれる余裕のある雰囲気を包み込んだものにしたい」と、意欲を燃やし続ける。「できるなら、家具も統一したものを作りたい」と出品した尾鷲の檜を用いた大型ベンチが、第1回クラフトコンテストで受賞。トータルに木を使いこなす腕の冴えが広く世に認められた。
 合理化が進んで、集成材を用いて簡単に組み立てられる住まいが普及する現代にあって、「技」も「心」も忘れないで行きたいと願う少数正統派。

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