KOBE MEISTER

家具/藤本 三次

昭和4年生 西区在住

勤務先:布引家具工房

注文家具の製作に従事。曲面加工に高い精度を要求される曲物の製作が得意。神戸洋家具の伝統と技能を守っている。

手造りならではの、やさしさと暖かさを

藤本三次さん 西神ニュータウンの郊外にある「布引家具工房」が藤本さんの仕事場。もともとが新神戸駅近くでスタートしたことから「布引」と名付けた。「造船が花形産業だったころは、主に船舶の内装家具を手がけたものですよ。」アルバムをひもときながら昔を懐しむ。往年の客船「照国丸」のキャビンがまるで昨日のことのようにそこに存在している。しかし、時代は変わって、一般住宅から店舗、公共施設などに納入する注文家具の製作へ。
 神戸家具との言葉があるほど、洋家具の優秀さで知られる神戸にあって、伝統の技法を守るだけでなく、新しい技法をも開発。曲げた薄板を何枚も張り合わせてカウンターなどの曲面を継ぎ目なく作りだす曲面工法や、かつて船のキャビンなどに使われていた直角開きスライド式ドアなどの技法を自ら考案するなど洋風家具の技能では業界第一人者と評価されて今日に至った。
家具の写真 「量産家具が幅をきかす現代でも、手造りの持つやさしさと暖かみを大切にしたい。」だから、市販にないものをコツコツと作りあげることに喜びを感じる。「人の手におえない仕事を引き受けるのが好きです。」腕に自信はあるが、コストダウンや納期短縮など悩みのタネも残る。この道に入って半世紀近く。70代とは思えぬ若々しさで、せっせと木に向うその横顔に、この道ひと筋の風格がただよう。

ページの先頭へ戻る